現在多くの企業がホームページを持つようになっている。
しかし、規模やデザインはともかく、その多くが従来のカタログや会社案内程度で、決してインターネットの利点を活かしたマーケティングを行っているとはいえない。
ウェブサイト開設の時にだけ見栄えの良さ・デザインだけはコストをかけているものの、開設後にきちんとメンテナンスしている企業がどれだけいるだろうか。継続的に情報をメンテナンスし発信していってこそ、ウェブサイトをインターネットのメリットを活かしたマーケティングツールとして活用できる状況になるのである。
ここでは、インターネットにおけるウェブマーケティングを意識したトータルデザインを考えてみよう。
INDEX
1.1 ホームページデザインとマーケティング
ウェブを彩るデザインソフトが数々登場しているにもかかわらず、マーケティング戦略についての情報は少ない。
アクセスが多いのは可能性は広がるものの、求めてもいないターゲットのアクセスを増やしても仕方がない。
最近はバナー広告にスポットを当てるような書籍やサイトはあるものの、トータルなマーケティング手法や戦略的なウェブ設計の重要なポイントについて言及した書籍などはほとんどないという状況である。
デザインに優れたものは数々あっても、ムダに美しいだけで、重く、トータルなコンセプトの提示・見やすさ・ユーザ側にわかりやすい構成という意識を持たないサイトが多すぎるのである。
もちろんクールなウェブサイトであることは、一部のネットサーファーを集める1つの要素ではあるが、あなたの会社のターゲットユーザの多くは、美しいウェブアートを見に来る訳ではなく、必要なものを探しに来ているのだ。
まず、現状多くの企業のウェブページが抱えている問題点とその原因をみていこう。
1.1.1 現在のホームページに欠けているもの
多くの企業のサイトに欠けているものは、「ユーザがアクセスした理由」「ユーザが本当に欲しい情報へのガイドライン」に対する配慮である。
簡単な例を挙げれば、英語だけでリストアップされたメニューである。ALTタグを使った説明もなく、ユーザがそれを見た時に何を期待しているかが曖昧である場合が多い。ユーザがアクセスしたときに「Support」と書かれているメニューを押すと、問い合わせ窓口があるのか、ソフトのダウンロードができるのか、製品に関するFAQがあるのか、メニューの適切な切り分けができているのか、本当にユーザをサポートしてくれるのか、といったことである。
どうしてこんな画一的な状況になってしまったのだろうか。
1.1.2 システム管理者とデザイナーだけではムリがある
多くの企業、特に中小企業では、まだウェブ専任の担当者をおくことができない状況であるのは理解できる。しかし、デジタルに疎い営業部長とパソコンには詳しいが営業経験のないシステム管理者だけでは、ウェブとマーケティングを結びつけることもできないだろう。
代理店やホームページ制作会社についても同様のことがいえる。確かにインターネットの技術面的なノウハウを持っている会社かもしれないが、その会社の事業内容や製品、そして何よりサイト開設の目的をよく理解した上でマーケティング的なサポートまでできているのか。
また、ホームページ制作を依頼する企業の方でも、会社案内とカタログを渡すだけであとは代理店にまかせっきりにしていないか。あるいは、コストがかけられないからといって、最初だけ作ってもらい、後は自社でやるということはないか。そこに本当にウェブでやりたいこと、できることを理解して管理している人がいるのか。よく考えてみていただきたい。
例えば、ホームページの多くは、米国のコンピュータメーカーがまずサイトを開き始めた。その時点では、確かに「What's New」「Product」「Support&Download」「About
Us」だけでもよかったかもしれない。
しかし、どの企業もそれに倣って作るのが本当に効果的なのか考えたことがあるだろうか。もっとアピールすべき点・自社ならではの見せ方があるのではないか。
そこを考えることからマーケティングがスタートするのである。
1.1.3 マーケティングセンスがホームページの価値を高める
マーケティングという言葉も曖昧で誤解も多い。
特に日本では「営業」「販促」といった部署しかなく、これらの部署の活動=マーケティングだと考えている企業が多い。製造部は「いいものを作る」ことだけに熱心で、営業部は「早く・安く・たくさん売る」ことだけを考えて、「いいモノを作ったのにちゃんと売ってくれない」「売れないのはモノが悪いからだ」という、製造対営業の次元の低い対立という状況も聞かれる。これは外資系の会社についても同様で、米国型のマーケティングセクションを持っていても、日本のビジネスの仕組みにうまく適合しないまま、営業対マーケティングという構図が見られたり、マーケティング=絵空事、営業=現実と、マーケティングを疎かにしている会社も見られる。
何もしなくても売れるバブリーな時期に、カタカナ言葉を並べてクライアントを煙に巻き、高いコンサルティング料を取るマーケティングプランナーなどがいた為に、マーケティングに対する誤解や反発が見られるのも事実である。しかし、不況の中でも変わらずもてはやされている同種の人たちがほとんどいなくなってしまったことからも、それが必ずしも成功していない=正しいマーケターではなかったことがわかるだろう。
本来マーケティングとは、モノづくりにおいては市場のシーズ・利用者のニーズを製造部や技術部などへ伝えることで、より売れる製品・サービス作りをサポートし、営業・販促においてはそのモノの良さを市場にアピールさせるよう立ち回るという、トータルな製品戦略を持たなければならない立場である。
既存の新聞雑誌・テレビといった一方的なアナログメディアとはずいぶん異なり、活かせばより効果的なマーケティングが展開できるインターネットのようなデジタルメディアには、特にこれまでとは異なるマーケティングセンスが求められるのである。
言い換えれば、マーケティングセンスが企業のウェブサイトの価値を決めるのである。
1.2 インターネットで今できるビジネス活動
インターネットの可能性自体が広がり続けているが故に、今現在何ができるのか、そして今後どのような利用方法が可能かを見極める必要がある。
技術だけが進んで、それを積極的に利用しても、市場=ユーザ環境がそれに追いつかない間は、限られた人向けの情報になってしまう。その点を見極めて、現状企業活動のどんな部分がインターネットで実現できるのかを簡単に見ていこう。これを見ていけば、ほとんどの企業活動がインターネット上でも可能であることがわかる。
そして、これらすべてを効果的に活用することがウェブマネージャの仕事であり、ウェブマーケティング戦略なのである。
1.2.1 インターネットビジネス=ネット通販だけではない
少し前のインターネットビジネス関連の書籍といえば、イコール「インターネット通販について」という状況であった。
しかし、ネットビジネス=ネット通販だけではないことはすでに実感されている方も多いだろう。
例えばソフトのマイナーバージョンアップなど、つながらない電話サポートにリダイアルしなくても、あるいはCD-ROM付きの雑誌を買わなくても、昨日完成したばかりの最新版にアップデートできることで、そのソフトのユーザサポートが丁寧だと評価され、ユーザの満足度が向上し、同時にカスタマーサポートの負担(人件費など)の軽減にも役立つ。
あるいは、パソコンのソフトハードの顧客登録や、航空会社のマイレージポイントサービス、宅急便の照会サービスなど、既存の顧客サービスで人材・コストのかかる部分をネットワークシステムで補っているのはよい例といえるだろう。
実際に利益に結びつかない場合もあるが、既存のコストの削減につながるかもしれないし、顧客満足度という曖昧だが非常に重要な評価をあげる場合もある。これらのウェブマーケティングを評価する方法やシステムを確立されてきている。
これらの例は、大企業を中心とした、データベースシステムとインターネットを結びつけた大規模なシステムでの話ではある。しかし、中小企業においても、そこまでシステムに依存することなく、顧客の開拓とその維持にインターネットを活用できるはずなのである。
ネット上でのビジネスアクティビティとは、まさにあなたの会社の顧客を維持するためのマーケティングツールとしての役割をメインに考えることなのだ。
まずネット上で行われているビジネス・企業活動をリストアップしてみよう。
1.2.2 人事・総務・財務活動
総務=企業全般の活動をサポートする・企業全体の窓口
人事=会社に必要な人材を選考する・適切な場所に配置する・労働の対価として適切な給与を与える
財務=株主などへの財務・経営情報公開
これらの人事・総務・財務活動も、以前から「ホームページ=電子版会社案内」という状況だったことを見ても、インターネットで展開しやすい部分ではある。
直接的な利益には結びつかないものの、会社の基盤となる人材調達に役立ち、就職活動をサポートしつつ、雇用に関するコスト(郵送費など)を削減できると同時に、会社の魅力をアピールするという意味で重要な働きとなりうる。最近は就職活動の前にウェブサイトを調べる就業希望者も多く、それだけに単なる電子版会社案内だけでない魅力を伝えることが有効活用といえるだろう。
それだけに、会社案内をそのままホームページに載せても魅力は薄い。紙の制約やページ数の関係で伝えられない部分までカバーできるのだから、そこを活用しない手はない。
同様に、総務財務についても、特に株主への情報公開が叫ばれ、それを実行することで本当の信用が得られるという状況になっている現在、どこまで財務状況をオープンにするか、企業の姿勢がそのままウェブサイトに反映されるのである。
1.2.3 製品情報の提供
商品やサービスを持っている企業の多くが、自社の提供する製品に関する情報をインターネット上で提供している。ウェブ=(会社まで含んだ)製品情報提供ともいえる。
印刷コストも送料もかからず、情報量の制約や紙媒体の制約(絵と数字・文字のみ)からも解放されるウェブ上での情報提供は、まさに顧客に知りたいだけの情報をすべて与えられる媒体なのである。
しかし、意外とこれが疎かになっている(カタログとまったく同じ・もしくはそれ以下のレベルの)企業がまだまだ多い。
インターネットでは、ターゲットマーケティングとか対個人(ワン・トゥ・ワン)マーケティングが可能になるという点で、マスマーケティングとは異なる特性とメリットを持っている。それだけにマスマーケティングとは異なる考え方やアプローチが必要になるということを把握していなければ、単なる「紙媒体のコピー」に終わってしまうのだ。
1.2.4 広告販促活動
販促活動は、商品を主に小売店や流通業者にわからせる・更にメディアに乗せることで市場(世間)に知らしめる為の活動であり、広告は購買者に知ってもらう・手にとってもらう・買ってもらう・使ってもらう為の活動である。
製品情報の提供と重なる部分はあるが、基本目標は市場に対してその製品をアピールし、認知度を高め、更にそれが「よい」「かっこいい」「便利」「役立つ」「お得である」ことをわからせて購入にいたらしめることであり、これがマーケティングにおいて重要なポイントである。
日本では狭い意味で広告販促活動=マーケティングと考えられている部分であるが、たしかに比重は大きいものの、あくまでその一部にすぎない。
具体的には、どんなものなのかという製品情報の提供以外に、直販なのか、決済方法はどうなのか、流通業者・小売店で入手できるのか、仕切値は、ボリュームディスカウントは、などといった流通戦略や価格戦略まで、対象にあわせて適切な情報を知らしめることである。
1.2.5 顧客サポート
製品購入時や利用時のFAQ(よく顧客から受ける質問とその回答集)を用意することで、購買意志を決定させ、あるいは製品をより有効に利用してもらうことができる。
また、商品利用者の疑問に答えるサポートラインにインターネットを利用することで、電話やファックスの料金や人件費を節約すると同時に、営業時間外やサポート電話の込み合う時間にも待たせることなく対応することで、顧客の満足度を高め、商品やブランド、あるいは企業そのものを気に入ってもらうことができる。
これによりさらなる購買を促し、利益を上げることが可能になるわけである。
1.2.6 販売活動
これまでは限られた商品しか売れないと言われてきた、ネット上での小売活動も幅広い業種へと広がってきている。98年末の米国のクリスマス商戦は特にインターネット販売の飛躍的な拡大をアピールした。
もちろん日米の商取引の慣習や環境が異なるとはいうものの、日本でも早晩この大きなムーブメントが訪れる。ただし現状では向き不向きもあるという点についてはこの後触れる。
小売りとはいえ、ウェブ上でのみのバーチャルストアなのか、それとも市場での購入を促すアンテナショップ的なサイトなのか、海外の顧客のみを対象とするのかという目標が明確でないと、ウェブでの展開・戦略は立てられない。
フランチャイズのトップが直販を行えばFCから反発があるし、通常のリテール品を安い値段で直販しはじめれば流通との軋轢が生まれる。かといってオンラインでは定価販売、店では2割引では行う意味がない場合もある。
地元の人に人気のあるうどん屋さんが地方発送にウェブを使うといった棲み分けや、パソコンソフトを低価格でオンライン(ダウンロード型)販売を行うが、その際にはマニュアルもデータで提供・パッケージもないという差別化をするとように、ターゲットや製品特性を明確化すること、そのバランスを考えることがウェブマーケティングなのである。
1.2.7 製品開発のマネジメント
製品開発の場面においてもネット活動が重要な役割を果たす。
この場合、直接ウェブサイトが活用されるというよりは、ネットで接続されていることで、新たなビジネスチャンスやビジネスパートナーの可能性(コラボレーション)が広がるということのほうが第一に挙げられるだろう。
しかし、これも業種によってはウェブで自社の提供できるサービスや商品・技術を積極的にアピールすることで、新しい企業の関係(業務委託受託・製品の受発注・提携)が生まれる可能性は大きい。
1.2.8 ビジネスチャンスの模索
これはコンテンツビジネスに見られるパターンではあるが、例えば新聞などがよい例である。
例えば、オンラインで新聞を見られるようになった頃、タダでは商売にならない・また、うまくいったら今度は紙メディアの新聞が売れなくなる、という危惧も聞かれた。もちろん当初は赤字覚悟だった(実際赤字だった)サイトも、ユーザが増えてインターネット広告で利益を回収でき(asahi.comがよい例)、なおかつ他の技術への展開もしやすくなった(例えば携帯電話の文字情報サービスなど)ことで、先に技術・ノウハウを蓄積したからこそリーダーとなっているものがある。
同様に、電車の乗換・料金情報や銀行の口座照会、チケット予約システムなどが同様な例として挙げられる。
現状は赤字でも、将来の採算性や技術展開の為にスタートするという、ビジネスチャンスの模索や先行投資的なサイト運営は、多少リスクもあるものの、成功した場合に他の追随を許さないマーケットリーダーになれる可能性を秘めているのだ。
1.3 電子商取引のメリットデメリット
とはいえ、すべてのビジネス活動にとって、インターネットが有効なビジネスの新境地だと言っているわけではない。
また、マーケティング手法にしても、ホームページを開設しても直接売り上げにつながったり、バナー広告を出して効果がある業種・製品ばかりではない。当然ネット通販には向き不向きがある。
例えば文房具のメーカーが、何の変哲のない製品を紹介するページを作っても、それで製品が売れるようになったり、通信販売で儲かるということはないだろう。その点を無視して、とりあえず「ホームページ」を作っても、それはサハラ砂漠に看板を掲げるようなものなのである。しかも看板には「詳しくは日本に来てください」としか書いていないとしたら、その価値はないに等しい。
しかし、一見不向きだと思われるビジネスでも、見方や見せ方をかえることで大きく成長することもある。例えば先の文房具メーカーの例でも、名入り・ロゴ入りの鉛筆を作るサービスを始めたり、企業向けに翌日配送される注文システムを構築したり、ネット上でしか手に入らないキャラクター入り文具セットを通販する事で思わぬ利益を得られる場合もある。
これは極端な例だが、従来の流通や広告費に依存するマーケティングと比べて、コストや知名度に必ずしも頼らないビジネスチャンスがあるのもインターネットという市場ならではなのである。主婦も、個人事業主も、扱う製品やアイデア次第でチャンスは平等といわれる。
ただ、ネットが平等性をその特徴としてはいるものの、特にお金が関わる部分では、個人を相手とする小規模な小売りになるほど、工夫やアイデアが必要になる。
名前も知らない会社にクレジットカード番号を送ったり現金を先払いするのには消費者が慎重になるし、扱う内容が同じなら大手のモノの方が安心できるという消費者心理をもくまなければ、ネットビジネスで成功することはできないのである。
1.3.1 電子商取引に向いたビジネスとは
ネット上でモノを売ることだけを考えると、すでにユーザ調査などの統計などでも見られるように、ネット利用者の嗜好・所得層・年齢層から想像できる範囲のもの(パソコン・プレゼント・書籍・クルマ・コレクターズアイテムや産直品などのリミテッドアイテム・アダルトコンテンツ)と、商品の性質・品質・スペックが均一もしくは明確なものに限られてしまう。(=騙される可能性が少ない)
逆に言えば、ネットで買い物がしたくないものを考えれば、ブラウザでは十分にクオリティを評価できない商品(例えば洋服や食器などは実際に見たりさわったりしないと安心できない=騙される可能性が高い)が挙げられる。
逆に、コンサートのチケットを画面上で席まで指定できるしくみを作れば、単に予約だけをする代理店よりも利用されるであろう。後はどんなアイデアやシステムでインターネット・パソコンのメリットを活かせるかということである。
ネット通販でのメリットやデメリットは、大まかに以下のようなが挙げられる。
1.3.1.1
ネット通販の利点
・入手しにくい商品が買える
・商品が探しやすい
・好きな時間に利用できて便利
・出かけなくて済むので便利
・メールでの受け答えが早い
1.3.1.2
ネット通販の問題点
・セキュリティが不安
・メールで問い合わせても反応が無い
・操作が面倒
・ショップに魅力がない
・送料が高い
・欲しい商品がない
1.3.2 ネット商取引への準備
現状、インターネット上の商取引についてまだ不安や面倒さが伴うという点は最大の弱点である。電話の通販と比較すればわかりやすいが、クレジットカード決済の不安である。
もちろん、カード番号の盗用がされても保険があるとか、SSL対応サーバなら大丈夫、通常の店でもカードを悪用される例もあるから比較できない、といった不安を打ち消す情報や要因もある。しかし、まず自分には起こらないだろうと思いつつも、不安が残るユーザは多いだろう。
それ以前に、親切でわかりやすいウェブフォームで注文できる(ショッピングカート・買い物カゴシステムでなくてもよい)ように準備しておくことだ。電子決済システムがいくつか現れ、利用者が安心でき、手軽に利用できるようになるまでは、代引きの宅急便、もしくは企業のみに対象を限定した請求書発行も選択肢として採用しておいた方が安心だろう。
1.3.3 ネット社会への対応は今からスタートせよ
製品の内容=ターゲットにもよるが、既存顧客の2〜3割程度しかインターネットを自由に使えない現状においては、インターネットだけに窓口を絞り込むのは急進的すぎて、逆に利用者の反感を買うであろう。ただし、この利用者の率も、この1〜2年のうちには半数近くなり、やがては逆転するであろうと思われる。その時にあらためて準備すればいいのだろうか?
現状製品に添付されるユーザ登録がハガキでしかできず、それも電子メールの記入欄さえない状況では、後で準備しはじめた時には、そのユーザが引っ越してしまうかもしれないし、より早くオンライン化を進めた他のメーカーのユーザになってしまうかもしれない。
準備だけは今からでもしておくべき時期なのである。逆に、興味のある人のメールアドレスをウェブ上で入手することで、高いDM代をほとんどタダにできる可能性もある。
顧客情報はあるに越したことはないが、記入するのも面倒な登録ハガキは書くのも面倒だし、ましてや切手を貼って、などというハガキは出す気も失せる。それだけ情報を集めたとして、果たしてそれを有効に活用している企業があまりに少ないように思われる。現代の様に、嗜好が細分化し、しかも短期間でめまぐるしく移り変わる状況で、半年前のユーザアンケートが役に立たない場合も多いのに、である。
ネットでは、もちろんユーザの属性分析ができればそれが一番だが、極端な話をすれば、電子メールアドレスだけでもいいのだ。
顧客も電子メールだけで無駄なプライバシーを出さずに済むという安心感があるし、属性を知りたければ懸賞付きのアンケートで済む状況になるだろう。(現状は「ネット利用者内での」というバイアスがかかるが)
すべてのターゲット層におけるインターネット利用者が少数というビジネスでなければ、今後1〜2年先の為に今から準備すべき最後のチャンスともいえる。
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